2026/07/22 08:56
包丁は、料理人にとって単なる道具ではありません。
日々手入れを重ね、研ぎ、長い年月をともにする一本は、技術や経験、そして想いが詰まった特別な存在です。
だからこそ私たちは、包丁を守るだけではなく、その価値を引き立てる”相棒”をつくりたいと考えてきました。

組子細工、突き板、寄木細工など、日本の伝統技術を取り入れた包丁ケースを手掛けてきたのも、その想いからです。
そして今回、新たに挑戦したのが、秋田県大館市で受け継がれる伝統工芸「曲げわっぱ」でした。
一本の木を丁寧に曲げて形づくる曲げわっぱは、無駄のない美しい曲線と、天然木ならではの温もりを兼ね備えています。さらに、秋田杉が持つ吸放湿性や断熱性は、包丁を保管する器としても魅力的な特性をもっています。
「この技術で、包丁専用のケースを作れないだろうか」
そう考えた私たちは、大館の曲げわっぱ工房「りょうび庵」様にご相談しました。
伝統工芸を守るだけではなく、新しい価値を生み出すことにも積極的に取り組まれている工房であることを知り、私たちの想いをお伝えしました。
そこから試作が始まりました。
包丁が美しくおさまる寸法。
開閉したときの佇まい。
曲げわっぱらしい曲線を活かしたデザイン。
何度も調整を重ね、この包丁ケースは形になっていきました。
私たちが目指したのは「包丁を入れる箱」ではありません。
大切な一本をおさめるにふさわしい「器」です。

使うときも、しまうときも、美しく。
使い手の所作に寄り添い、包丁とともに歳月を重ねながら味わいを深めていく。
そんな存在になってほしいという想いを込めて、
この曲げわっぱの匣をお届けします。